食洗機に入れられない陶器は厄介ものですね。といって食洗機オーケーの器しか使わない、とはなりません。特に気に入りの器は、毎日のように手洗い桶でお目にかかり、あれ、いつの間にこの器をこんなに使うようになったの、と考えることが最近多くなりました。
最近のお馴染みは、ン十年前、益子の陶器店で買った益子焼の中皿。台に無造作に積まれていた日常雑器で、色は黒みがかった消し炭色、形は皿にしては底にやや深みがある。皿の片隅に、小刀で彫られたような山ゆりの穂が一輪。その穂先に白いゆりの花が三つ。その白い花が、羽ばたく白い鳥の羽に見えて面白く、皿と鉢をセットで買ったもの。
でも家で見ると何とも地味で、ソーメン用の器に使ううち、ン十年もたっちゃった。それがついこの夏の初め、何となくハンパな量の酢豚の入れものを探していて、ふとあの中皿が思い浮かんだ。ダメモトで盛ってみると、まるで手の平で受けたようにしっくりし、黒灰色の肌にピーマンの緑が映えて美味しそう! 他の何を入れてもこちらに寄り添ってくる風情に惹かれ、気がつくとこの器がしみじみ好きになっていた。
陶芸で言う“器が育つ”とは、もしかしてこのこと?