読者からのお便りコーナー

東京都 淺野 聡さん

 

「柳橋ものがたり」の7巻では、北町奉行所に赴任した直後の小出大和守の活躍が描かれています。昨年(2023年)夏にあることがきっかけで偶然手に取った文庫本でしたが、北海道に縁のなかった私には蝦夷といっても「あんな僻地で、熊のお世話でもなさっておられたの」(「柳橋ものがたり」ペリーさんの拳銃の章より)といった認識が私にも当てはまるほど全く蝦夷の知識が及んでいませんでした。ただ、その章は想像以上におもしろくとても印象的で、その後森先生が函館育ちと知り、よし次は「箱館奉行所始末」だ!と思い、このたび楽しみに手に取りました。

 

繰り返しになりますが、私は北海道には一度も行ったことがなく地理感もありません。お城は好きですが五稜郭については、幕末の小説に散見される程度の知識しかありませんでした。ですので、スマホで函館のマップを見ながらの格闘となりました。

 

さて、「箱館奉行所始末」の感想ですが、読み始めは単に一人の青年役人の成長記のような内容なのかと思いましたが、章が進み巻を重ねるごとにぐんぐんと引き込まれました。

それは、卓越された表現やストーリーもさることながら、森先生の経験に裏付けられたリアリティによるところも大きいと思いました。繊細にして精緻。自然との調和。それらが厳寒の中での生活をいっそう際立たせてくれています。

また、北の防人の重要性を歴代奉行の資質が物語っているところも読みごたえのある内容です。

 

最終巻は衝撃的で、深く考えさせられるものがありました。というより、”突きつけられ”ているような思いで拝読しました。

風雲急を告げる、善悪の基準すらわからないような混迷の中、自分がもし主人公・幸四郎の立場であったなら、この非情な現実をどのように受け止め振舞うであろうか。歴代奉行が貫いた日本人の道。

榎本武揚が与えた大儀。守るべき武士の一分。

使命を果たす戦いなのか、死に場所を求める歩みなのか。

 本当に、大河ドラマにしてもらいたい名作だと思いました。

 



東京都 吉田 晶子さん

 

知人から森真沙子さんの『箱館奉行所始末』を頂戴したのがきっかけで読み始め、すっかりファンになりました。

 

『箱館奉行所始末』は、作者の文献資料研究と実地踏査の確かな裏付けが、ズズンと感じ取ることができ、圧巻でした。

 将来的な著名人の若き頃の動向なども詳細に語られていて、興味深い部分に出会うたび、もっと知りたくて、自分で調べてしまう自分がいました。読書と同時にすすんで調べ学習(教員用語ですかね)をする回数が飛び抜けて多い作品でした。そのほか、いくら歳を重ねても、未知なことは増えるばかりと気付かせてもらえました。こういう機会を与えてくださる本に出会えて幸せです。

 

『柳橋ものがたり』は、聡明で知性のある綾を通して、江戸の町や江戸末期の人々の動きや心情を学ばせてもらえます。夢中で読み進みました。まさか『箱館奉行所始末』の重要人物が、こちらにも進出したときは驚きました。新刊が出るのを楽しみにしています。                

 



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