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せわしない師走のありふれた一日

 

  人生笑って生きたいと思うけど、今年もいろいろあって、笑ってもいられないことばかり。いや、こう勘違いや行き違いや思惑違いや突発事故が多くては、笑うしかないってことでしょうか。

 

  先日も、まだ届かぬ校正ゲラの締切を巡って、編集者と攻防戦があり、正月明けを望む私が負けて、〆は年内二十五日となった。ところが一時間後にその編集者から再び電話が。今日、配送者に事故があり、校正者から社に送られてくるゲラが遅れるため、〆は正月明けでいいと。どうやら※猫ヤマトが、別の場所にゲラを送ってしまったらしい。編集者は平身低頭しつつ、「こんなコトってあるんですねえ」。ほんとほんと。

 

 師走も十二日の昼下がり。冷たい北風が吹く中、リュック背負って久しぶりの古書店巡り。本探しにも運の良い日・悪い日があるけど、この日は『大雲堂』で、歴史本を三冊ゲットして好スタート。靖国通りからすずらん通りを回り、神保町交差点を渡って『高山本店』で一冊購入。欲しかった江戸怪談本は値段が折り合わず。店を出る時、レジ係が奥と交わす会話の「え、無罪だって?」という言葉が耳に残った。へえ、あのドンファンの元妻は一審無罪か、と思いつつ地下鉄新宿線乗り場へ。でも、おっと間違えた・・・と横浜行きの都営三田線に慌てて変更。以前はこの後、新宿に寄るのが恒例だったから、足が動いてしまった。でも一昨年、飲んべえのママが病没し、店はもうない。おかげで今は、ラッシュに巻き込まれぬよう帰りを急ぐ、品行方正な私なのでした。

 

 師走になると、友人Mから信州の手作り味噌が届き、私は“花キューピット”で、ショッキングピンクのシクラメンを送るのが、二十年来の楽しい行事。でも今年はいつもとちょっと違った・・・。

今年は諸事情で花屋を変えたら、初めて接する中年過ぎの店主は、「シクラメンは花キューピットで送っちゃだめだ。花を見ずに送るから、なかなか希望の色が届かない」と主張する。(はい、それは承知の上だけど、花キューピットは手軽で郵送料がかからないので)。でも花屋のおじさんは、明日花市場に行くのでいい鉢を選んで来てもいい、と言ってくれ、私はその好意に感謝し、気軽に花選びを一任したのでした。

 


 ところが二日後に電話があり、るんるんで行ってみると、アララ! 

蕾が多く見事な鉢だが、それは好みの濃いピンクじゃなく、淡いパールピンク。一体どうして? あの日私は、花屋が色を間違えないよう花と同色のセーターを着て行って、“この色”と指定したでしょ?

直立したままじっと思い巡らすうち、ハッと気づいたことが。その濃ピンクのセーターの上に重ね着していた、グレイのベストの胸元に、太い横筋が走っていて、それがパールピンクじゃなかったか。私が“コレ”とセーターを指差した時、おじさんはそのベストを見たのでは? 

互いにさんざん気ィ使った挙句のこの結末。でも・・・と思いつつ、

「有難う、コレでいいです」と笑って言ってる気弱な私でした。例年と違う花の色に、Mはどう思ったか。お礼メールにはこう書かれていました。「とても綺麗なピンクで、部屋がパッと明るくなりました」

 

 昨日は恒例の大掃除。毎年手伝いを頼む怪力の甥が、パーカーのフードをセーターの襟から覗かせていた。「四十のおじさんはパーカー着るな」とからかうと、「じゃ、なに着たらいい」と言う。「若づくりせず、粋なおじさんルックで決めることだね」「だってパーカーはおじさんルックだよ。もっとおじさんらしくするなら、やっぱ腹巻とか・・・」と言いかけて笑い出し、ステテコ・モモシキなどのジジルックも飛び出して爆笑となり、これが今年の笑い納めとなりました。

笑うかどに福来る。来年はもっと可笑しいことが沢山あって、もっともっと笑える年でありますように! 

わざわざ私のブログ読んでくださった皆さま、有難う。

来年もよろしくお付き合いくださいね。良いお年を!