家事をしながらTVをつけていたら、聞いたような曲が流れてきます。でも、聞き覚えはあるけど曲名が浮かばない。ラララ----と一緒にハミングしてたら、あれれ。これって、毎週楽しく見ている『偉人たちの健康診断』(NHK・BS)のエンディングテーマでは?でも曲名は『翼をください』と紹介されました。ヒエッ、あれは『翼をください』だったんですか。うかつでした!
超有名なその曲を、知らないではない。教科書にも載ったとかで、よく卒業式など教育関係のイベントや、サッカー日本代表の応援歌として歌われてますよね。ただフォークソングのせいか、メッセージ性が少し鼻について、あまりよく聞いてなかったんです。
一方『偉人たちの----』で、終わり近くに流れるこの曲は、外人女性歌手が歌っていて、歌詞はよく分からない。でも歌は素晴らしく、これが聴きたくて夜更かししてるようなものでした。
歌詞は分からなくても、エモーションは伝わるもの。
例えば、関ヶ原で敗軍の将となった石田三成のバージョンでは、番組はその頑張りの裏側を“診断”した後で、処刑前に勧められた柿を、「痰の毒だから」と断ったエピソードを紹介します。
「もうすぐ死ぬのに、そんな心配してどうする」とあざ笑われた三成は、「志ある将は最期まで自分を諦めないものだ」との言葉を残して斬首された-----とナレーションが入る。そこへあの曲が流れます。私はジーンときて胸が一杯になりました。「ああ、三成さん、頑張ったね」と、言ってあげたい思いでした。
「あなたは立派に生きたんです、もうこれ以上頑張らないで、ゆっくり休んでね」って。そんな思いは、いつもこの曲によって喚起されるので、てっきりこの番組のために作られたものと-----。
▲石田三成の画像
東京大学史料編纂所所蔵
▲スーザン・ボイルのデビューアルバム『夢やぶれて』(原題:I Dreamed a Dream、直訳は「夢を夢見て」)。「翼をください~Wings To Fly」を収録。
(発売/ソニーミュージック)
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『翼をください〜Wings To Fly』 スーザン・ ボイル
大慌てでネットを探ってみると、ありました!
Q & Aコーナーに、こんな質問を見つけたんです。
「“偉人たちの健康診断”のエンディング曲“翼をください”は、誰の歌唱でしょうか。柔らかな美声で、気になります」。
答は一言、「スーザン・ボイルじゃないでしょうか」
ジャーン、でした。
すべては、自分の無知と勘違いから始まった。私が馬鹿だっただけのことですが、それにしても歌手が違い、また歌詞にとらわれなければ、曲はこうも違って聞こえるものなんですね。
もっともスーザン・ボイルは、別格かもしれません。何しろ四十八で突然イギリスのオーディション番組に出場し、世界の話題をさらった奇跡の人。その太めな全身から発せられる声は、本当に柔らかく、魂を揺さぶるような魔力に満ちています。むしろスーザン・ボイルの“翼をください”をここに使った、音楽担当者のセンスを褒めるべきでしょうね。
今さら恥ずかしながら、慌てて調べてみたら、この作曲はYMOや当時の荒井由実を世に出した村井邦彦なんですね。素晴らしくて当然なのでした。